「番茶とほうじ茶ってどんな違いがあるの?」
「美味しい淹れ方は?」
このような疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
番茶とほうじ茶は非常に似ているお茶であるため、違いがわからないですよね。
結論、番茶とほうじ茶の大きな違いは加工方法です。
ただし、番茶とほうじ茶には他にも特徴があり、異なる点が多いお茶です。
そこで今回は、番茶とほうじ茶の違いを紹介するとともに、美味しい淹れ方も紹介します。
大学卒業後、飲食店勤務やフードコーディネーターアシスタントを経験し、独立。
レシピ本著書は27冊。
「心も身体も喜ぶごはん」をテーマに、ダイエットや美容・健康に関する料理本の出版、各媒体でのレシピ開発やコラム執筆、ラジオ・テレビ・イベントへの出演、企業向け健康セミナーや個人向け食事サポートなど。
番茶とほうじ茶は加工する製法が違う
番茶とほうじ茶はどちらも日本の伝統的な茶の一種ですが、その製法は大きく異なります。
番茶は一般的に、新芽ではなく成熟した葉や茎を使用しています。
葉や茎の部分は摘み取った後、蒸して揉むという一般的な日本茶の製法の後、乾燥させます。
一方、ほうじ茶は基本的に緑茶の一種で、特に青茶(未発酵茶)を用います。
ほうじ茶の製法は、摘み取った茶葉を特定の温度で炒ることで独特の香ばしい香りを引き立てます。
この炒り工程がほうじ茶の特徴であり、その結果、ほうじ茶は独特の焦がしたような風味と、深い琥珀色の色調を持つお茶になります。
番茶とは
番茶は日本茶の一種で、新芽ではなく大きく育った茶葉や茎を使用したお茶の総称です。
摘み取った成熟した茶葉は蒸してから揉み、その後乾燥させます。
番茶の特徴はそのさっぱりとした飲み口で、特有の苦みや渋みがありながらも、癖が少ないため手軽に楽しむことができます。
また、エネルギー0kcalとカロリーを気にする方にも最適です。
ただし、品質的には一般的な緑茶よりもやや劣るとされ、それがそのリーズナブルな価格に反映されています。
番茶は地域によって呼び方が違う
番茶は日本全国で愛されていますが、地域によってその製法や呼び名に違いがあります。
例えば、京都の番茶は大きな葉をそのまま蒸し、揉まずに乾燥させてから炒ります。
この焙煎工程により独特の燻し香が特徴的な「京番茶」となります。
一方、徳島県の阿波地方では「阿波晩茶」と呼ばれる番茶が存在します。
こちらは枝ごと刈り取った茶葉をゆでた後に、乳酸菌発酵させてから乾燥します。
また、岡山県の美作地方の「美作番茶」は、枝ごと刈り取った茶葉を煮てから乾燥させる製法が取られます。
これらの地域それぞれの製法により、味わいや香りに違いが生まれ、日本茶の豊かな多様性を体感することができます。
ほうじ茶とは
ほうじ茶は、日本茶の一種で、通常は新芽の取り終わった茶葉や硬く育った茶葉から製造されます。
また、煎茶の製造過程で選別された茶葉から作られることもあります。
これらの茶葉を高温で焙煎することにより、独特の香ばしい香りとさっぱりとした味わいが生まれます。
カテキン(渋み)、カフェイン(苦み)、ビタミンCなどの含有量は少なくなりますが、その分、優しい飲み口となるのが特徴です。
以下では、ほうじ茶の詳しい効果と特徴を紹介します。
- リラックス効果
- 美容・デトックス効果
- カフェインが少ない
- 食事の脂っぽさを洗い流してくれる
ほうじ茶を飲むことで得られる効果と特徴
ほうじ茶には、健康と美容に対する様々な効果が期待できるとされています。
具体的には、テアニンやピラジン、カテキン、クロロフィルなどの豊富な成分により、リラックス効果、集中力の向上、美肌効果、抗酸化作用、血流改善、ダイエット支援、口臭予防などの多彩な効果を期待できます。
リラックス効果
ほうじ茶に含まれるテアニンを摂取すると脳波にα波が出現し、リラックス状態を示すことや、カフェインの興奮作用を抑制することが報告されています。
ストレス解消や更年期障害の改善、PMS(月経前症候群)の緩和などの効果も期待できます。
美容・デトックス効果
ほうじ茶の香り成分であるピラジンは精神安定や肌トラブル解消に効果が期待できます。
ピラジンは「香ばしさ」を感じる香り成分です。ピラジンは、茶葉が高い温度で加熱されることで生成されます。
茶葉を焙煎して作るほうじ茶は、焙煎時に加熱されることでピラジンが生成され、ほうじ茶ならではの香ばしい香りになります。
実はほうじ茶だけでなく、大麦、コーヒー、ローストしたナッツやココア、肉などにも含まれています。
麦茶の香ばしいかおりや、お肉を焼いた時の食欲をそそる香りにもピラジンの成分が含まれています。
カフェインが少ない
ほうじ茶は、焙煎工程でカフェインが大幅に減少するため、夜にカフェインの多いものを飲むと眠れなくなるという方にはおすすめです。
カフェインの摂取が気になる人でも、ほうじ茶なら比較的安心ですよ。
ほうじ茶のカフェインは、100mlあたり20mgほど含まれています。
コーヒーは60mg、紅茶は30mgほどなので、少ない方ではありますが、ノンカフェインではないことをご注意ください。
食事の脂っぽさを洗い流してくれる
ほうじ茶に含まれるカテキンは、食事の脂っぽさを洗い流す効果があります。
カテキンには脂質や糖の吸収を抑え、体脂肪燃焼を促す働きがあります。
またカテキンには抗菌・殺菌作用があるので、口臭予防や虫歯予防、食中毒の予防にも役立ちます。
これらの特長から、ほうじ茶は食事と一緒に飲むことで、さらなる健康効果が期待できます。
ほうじ茶は脂を流し口の中をさっぱりさせてくれるので食後のお茶におすすめです。
また、カフェインがお茶の中でも比較的少なく、リラックスにつながる香り成分が含まれているので、就寝前のリラックスタイムにもおすすめです。
番茶とほうじ茶のおいしい淹れ方
番茶とほうじ茶にはそれぞれ特徴的な淹れ方があります。
それぞれの淹れ方を理解して美味しいお茶を楽しみましょう。
- 番茶
- ほうじ茶
番茶
番茶の入れ方は以下の通りです。
- 1人分の番茶の茶葉はティースプーン1杯(約2~3g)を急須に入れる
- 100℃の熱湯を急須に注ぐ
- 20~30秒待つ
- 味と水色を均等にするため少しずつ順に茶碗に注ぐ
使うお湯については特に気をつけるべき点があり、ミネラルウォーターを使用する場合は軟水が最適とされています。
そして、おいしさが残る最後の一滴まで、きっちりと注ぎきりることも重要です。
これによって、急須にお茶が残ることなく、二煎目も美味しく飲むことができます。
また、茶葉の保存についても注意が必要です。
茶葉は1ヶ月以内に使い切ることが理想で、長期保存する場合は密封容器に入れて冷蔵庫や冷凍庫で保管します。
また、茶葉は湿度や空気、匂いに非常に敏感で、これらが原因で味や香りが変わってしまう可能性があります。
保存時はこれらの要素から茶葉を守ることが大切です。
上記のように番茶の淹れ方は非常に簡単で、シンプルな作業であることが魅力となっています。
だからといって侮ることなく、丁寧な手順を踏むことでその味わいは一段と深まります。
日常の中でちょっとした気持ちのリセットを求めるとき、ぜひ試してみてください。
ほうじ茶
ほうじ茶の美味しい入れ方は以下の通りです。
- 透明の急須に4gのほうじ茶の茶葉を入れる
- 90-100℃のお湯を茶葉に直接注ぐ
- フタをせずに30秒間蒸らす
- フタをして、注ぎ口の反対側を持ってカップに注ぐ
ほうじ茶の香りと味わいを引き立てるためには、お湯の温度、茶葉の量、抽出時間が重要です。
特にほうじ茶の特性を最大限に引き出すためには、沸騰したお湯を使用することが必須で、また、ほうじ茶は軽く乾燥しているため、煎茶と同量でも多く感じられるので、計量器を使って正確に茶葉の量を測ることをおすすめします。
さらに、ほうじ茶は長い抽出時間が渋みの原因になるため、抽出時間は30秒程度が適切です。
番茶とほうじ茶の違いを理解しておいしく飲もう
今回は、番茶とほうじ茶の違いについて紹介しました。
番茶とほうじ茶は、日本の代表的な日常茶ですが、その名前の通り異なる特徴を持っています。
それぞれの特性を理解することで、それぞれのお茶の美味しさをより深く堪能することができます。
上述したように番茶とほうじ茶の1番の違いは、「加工する製法」です。加工する製法が異なるため、それぞれの味も大きく違ってきます。
これら二つのお茶は、その製法と特性によって、それぞれ異なる楽しみ方があります。
個々の特徴を理解することで、どのようなシチュエーションで飲むのが良いか、またどのように味わえば良いのかを考えながら、それぞれのお茶を堪能してみてください。
また、お茶には他にも様々な種類があるため、それぞれの特徴や違いを認識した上で飲んでみても面白いですね。